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顎関節症・歯ぎしり・咬み合わせ

「アゴがガクガク鳴る」
「口を開けると痛みがある」
「口が開きにくい」
「食事の後などアゴが疲れる感じがする」
「アゴの痛みに伴い、頭痛や肩こりがある」

このような症状を感じることはありますか?
この症状は顎関節症を伴う時に感じるものです。顎関節症とは筋肉、顎関節、咬み合わせ機能的咬合系のいずれかが障害され、他の機能への悪影響が誘発され、口の機能が障害されるという病気です。

顎関節症の主な症状

「口が開きにくい」「口を開けると音がする」「あくびをしたり、硬いものを噛んだりすると顎関節の付近が痛い」「噛みごたえのある物を食べると、顎がだるくなる」などです。また肩こり、頭痛、めまい、耳鳴りを伴うこともあります。この中でも顎関節症の3大症状と言われているのは「顎が痛い」、「口が開かない」、「顎から音がする」というものです。現在、顎関節症はむし歯、歯周病に次ぐ歯科の3大疾患の一つとされています。

顎関節症の原因

顎関節症の原因は多岐にわたります。外傷、パラファンクション(口腔悪習癖とブラキシズムの総称)、情動ストレス、末梢からの疼痛入力、咬合異常などです。これらが単独又はいくつか複合して顎関節や咀嚼筋に悪影響を及ぼし、顎関節症は発症します。外傷の種類には、打撲や大欠伸、無理な硬固物咀嚼があります。パラファンクションの種類には睡眠時ブラキシズム、覚醒時ブラキシズムがあります。情動ストレスの種類には職場ストレス、介護の負担などがあります。抹消からの疼痛入力の種類には、歯の痛み、智歯周囲炎(親知らずの周囲の炎症)、外耳道炎があります。咬合異常の種類には前歯部オープンバイト(前歯が当たらない噛み合わせ)、片側性クロスバイト(があります。すなわち、顎関節症は単一の原因や病態というわけでなく、同じような症状を持っている方でもその原因は異なってきます。容易ではありませんが、その病態を発症した原因を出来るだけ探っていくことが治療の第一歩となります。

顎関節症の分類

顎関節症は一般社団法人日本顎関節学会の分類で以下の4つの病体に分類されます。

咀嚼筋痛障害

咬筋や側頭筋などの咀嚼筋が障害され、痛みが出てきている病態。咀嚼筋痛があると食事などで痛みを覚えたり、だるくなって食事がしづらくなります。痛みの強さによっては口を開けづらくなったりします。この病態は顎関節症Ⅰ型とも呼ばれます。

顎関節痛障害

顎関節が阻害され、痛みが出てきている病態。
何らかの原因で顎関節の中の組織に炎症が生じて痛みが出ます。大きく口を開けたり、硬いものを噛んだり、口を左右に振ったりして顎関節に力が加わると痛みを感じます。痛みが強いと、口を開けられる量が大幅にへり、食事に支障が出ます。この病態は顎関節症Ⅱ型とも呼ばれます。

顎関節円板障害(復位性)

口を開けていくとガクッ、コクっといった音がすることをクリック音と言います。口を開けていく時に下顎頭が途中でずれた関節円板に接触し、さらに移動を続けていくとクリックが生じます。このクリックを「顎がはずれた」と勘違いする人がいますがそうではありません。円盤転位が復位性である間は半数以上は痛みはありませんが、クリックが生じる瞬間に痛みを覚えることもあります。

顎関節円板障害(非復位性)

ある日突然に、口を開けても下顎頭がずれた関節円板に滑り込むことができなくなってしまうことがあります。このようになると、どのようにアゴを動かしても、下顎頭の動きは制限され大きく口を開けることができなくなります。このような状態を「クローズドロック」と呼びます。無理に口を開けると、顎関節付近に強い痛みを覚えます。

変形性顎関節症

下顎頭はこぶしを握ったような円球状をしていますが、それが変形してくることがあります。変形は特に加齢とともに多く見られるようになるので、加齢は変形性顎関節症の原因の一つとなります。特徴的な症状として口を開け閉めした時に「ジャリジャリ」、「ギシギシ」といったこすれるような音があります。この音はクレピテーション(クレピタス)と呼ばれます。

顎関節症の診断

顎関節症によるアゴの痛みには、アゴの関節の痛みとアゴの筋肉の痛みの2種類に分かれます。前者は顎関節痛障害、後者は咀嚼筋痛障害です。つまり、痛みの原因は

  1. 顎関節痛
  2. 咀嚼筋痛
  3. 顎関節痛と咀嚼筋痛(混合型)

に分かれます。まず行うこととしては、患者さんのお話を聞かせてもらい、どの原因が痛みを引き起こしているのかということを検査します。

検査内容の流れ

問診

問診から痛みの種類を探っていきます。

顎関節の痛みの発症の検査

関節圧痛の検査
自力運動時痛の検査
術者が下顎頭と関節周囲を押し痛みを確認したり、患者さん自身にアゴを動かしてもらい痛みが出るかどうか調べます。

筋肉に痛みがないかどうかの検査

咬筋圧痛の検査
側頭筋圧痛の検査
咀嚼筋痛の検査として筋圧痛検査を行います。

検査結果の判定

得られた検査結果を参照に判定していきます。

画像検査

必要に応じて、顎関節症のスクリーニングとしてレントゲン撮影やCT撮影を行います。

以上で得られた検査結果からアゴの痛みについて説明を行なっていきます。説明は以下のような手順で行います。

顎関節痛の原因と病態の説明

顎関節痛は、顎関節周囲の滑膜や靭帯に機械的に過剰な力がかかり、炎症が生じて、その炎症部を下顎頭が動いて圧迫、刺激することで生じます。そのことを患者さんに理解いただけるよう図を用いて説明していきます。

咀嚼筋痛の原因と病態の説明

咀嚼筋痛の発症のメカニズムには不明な点が多いですが、痛みは筋・筋膜痛によるものと考えられています。そのため、何が筋の活動を過剰にさせているかという原因を探ります。例えば主な原因として日中や就寝時の「歯の噛みしめ」、「くいしばり」が考えられます。さらに偏咀嚼癖があると偏咀嚼側の筋活動が過剰となり痛みが生じるということもあります。

顎関節痛と咀嚼筋痛が重複している場合

問診や検査により両方を併せ持っている場合にはその説明をさせてもらいます。顎関節症では顎関節痛と咀嚼筋痛が重複していることが多いため、その旨を理解してもらうようにします。

顎関節症の治療方法

顎関節痛の治療

顎関節に負荷をかけないようにする

顎関節痛は関節周囲の滑膜や靭帯に負荷がかかり、炎症が生じたことが原因となります。そのため、治療には顎関節に負担をかけないことが重要になります。歯ぎしりや歯の噛みしめ、食いしばりなどは炎症を増悪させる可能性があります。しかし、アゴをまったく動かさないことは咀嚼筋痛の原因となり、症状が悪化することもあります。

痛みが出ない程度の開閉口を行う

そこで、患者さんには痛みが出ない範囲内でこまめに開閉口を繰り返してもらいます。顎関節痛は、痛みが生じてからいちばん痛い時期が2週間程度続きます。ですが、比較的改善しやすく、小さい開閉口によって徐々に軽快してきます。

痛みが強い場合には薬の使用も検討します

顎関節痛が生じた当初は炎症が強く、食事に支障が出る場合もあります。そのような場合には消炎鎮痛薬の処方をさせてもらいます。

スプリントの使用

問診や検査の結果から顎関節痛の原因が夜間の歯ぎしりにあると考えられる場合やセルフケアでは痛みが改善しない場合は対策としてスタビリゼーションスプリント(夜間に使うマウスピース)を装着してもらいます。

咀嚼筋痛の治療方法

食事の際には痛い側で噛まないようにする

咀嚼筋痛の場合は、食事中は痛みは出ず、食後に痛みが出てしまうことがあります。偏咀嚼が原因の1つにあるので、痛い側では極力噛まないように気をつけてもらいます。また、治療期間中は弾力性のあるもの、噛みごたえのあるものも控えてもらいます。

開口ストレッチを行う

患者さん自身に行ってもらう開口ストレッチは咀嚼筋痛を積極的に治す上で有効です。開口ストレッチは以下の場合に推奨されます。

  1. 疼痛が原因で開口障害が発生している場合
  2. 開口を控えることで下顎運動の可動域が低下し、無痛開口量が回復しない場合
  3. 顎関節雑音に対する恐怖から開口を控えている場合

方法としては徒手的ストレッチを行います。このストレッチは伸張性を改善することを目的としています。親指を上顎の前歯に、人差し指を下顎にかけて指をクロスさせ、鏡を見ながら捻るように力を加えてまっすぐ開口する方法です。ストレッチの時間や期間に関しては、朝晩に5~10セット、2~3週間継続して行います。開始数日後で症状が改善することは稀なため、自覚がなくても継続して続けることが重要となります。

顎関節症は原因や症状に様々な違いが生じてくる病態です。
アゴに痛みがある方、お口の開け閉めに不具合を感じている方、その他顎関節に違和感を感じている方、ぜひ当院までご相談ください。

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