歯の豆知識③「唾液腺の仕組みと働き」
2020.09.26スタッフブログ
こんにちは。
葛飾区立石の歯科医院、医療法人社団栄怜会ニコデンタルクリニックの渡辺です。今回のブログは歯の豆知識③「唾液腺の仕組み」についてお話しさせていただきたいと思います。
唾液腺とは口腔の周囲に存在し、唾液を分泌する組織です。唾液腺は導管を持つ腺で、大唾液腺である耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)と小唾液腺である口唇腺(こうしんせん)、頬腺(きょうせん)、臼歯腺(きゅうしせん)、口蓋腺(こうがいせん)、舌腺(ぜっせん)等に分けられます。大唾液腺のうちの耳下腺は口の前方の口腔前庭(こうくうぜんてい)と頬粘膜に、顎下腺と舌下腺は舌の下である舌下小丘に導管の開口部があり、多量の唾液を出します。唾液は唾液腺で1日1~1.5ℓほど作られます。唾液腺は15歳前後で成熟し、それまでは量が増加します。唾液の中には様々な物質が含まれます。物質の一部として、以下のようなものがあります。
・アミラーゼ:触媒作用でデンプンを二糖類に分解します。
・プロリン・スタテリン:歯面に付着してカルシウムバランスを調整し初期脱灰を軽減します。
・ムチン:粘膜の潤滑と保護をします。また、細菌を凝集し、口腔内防御のための分子を運搬します。
・抗体:口腔内の微生物に対する防御反応を示します。
・リゾチーム:細菌細胞膜に含まれる、糖タンパク質の一種を加水分解します。
・ラクトフェリン:細菌の増殖を阻害します。
これらが作用することで、食べ物の消化を助けたり、洗浄作用を働かせ常にお口の中を洗い流したり、口腔内を中和することでむし歯を防ぎます。
消化においては口から食べ物を取り入れ、すりつぶし、唾液と混ぜます。食べ物がお口に入ると口腔前庭で大唾液腺の一つである耳下腺からサラサラの唾液がでて、水分を与えます。そしてお口の後方である固有口腔に送りこみ、顎下腺と舌下腺からネバネバした唾液がでます。このネバネバした唾液が食べ物と混じり合い、小さな塊となり、食道そして胃へと移動していきます。大唾液腺の多くは下顎の近くにあり、顎の開け閉めや表情筋(舌筋や顔面筋)を動かしたときにも分泌されます。小唾液腺は粘液性が高く、お口の保湿や乾燥防止に役立っています。
唾液分泌には種類があります。安静時唾液と刺激時唾液です。安静時唾液とは睡眠中など刺激の少ない状態で分泌される唾液でムチンとタンパク質をより多く含みます。刺激時唾液とは咀嚼によって、また酸味や甘味によって分泌される唾液のことで食物を取り込んだり、口腔から排除したりするのに適しています。重炭酸塩を多く含むため、安静時唾液より緩衝能が高いことも特徴です。
唾液の分泌量の変化については、前述したとおり、15歳前後の成熟までに増加していきます。加齢による唾液量の減少はないといわれていますが、加齢に伴う全身疾患・薬剤服用・咀嚼機能の低下などの因子にしたがい、実際に唾液量が減少します。15~80歳までの耳下腺の分泌はほとんど変化はしませんが、顎下腺・小唾液腺は減少します。以下の原因によって唾液の分泌は減少します。
薬の副作用、放射線治療、感染、乾燥、心因性原因、緊張感、脱水症、腫瘍、先天奇形、栄養失調、シェーグレン症候群・その他の唾液腺疾患
医療法人社団栄怜会ニコデンタルクリニック
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