歯の豆知識④「顎関節の解剖学」
2020.10.03スタッフブログ
こんにちは。
葛飾区立石の歯科医院、医療法人社団栄怜会ニコデンタルクリニックの渡辺です。今回のブログは歯の豆知識④「顎関節の解剖学」についてお話しさせていただきたいと思います。
顎関節とは言葉の通り顎の関節であり、左右に一つずつあります。上顎の骨のくぼみに、下顎の骨の突き出た部分がはまり込むような構造になっています。両耳の前の部分で、口を開けたり閉めたりすると動く部分が顎関節です。
上顎の骨のくぼみは、耳のすぐ前にある下顎窩(かがくか)というへこんでいる部分とその前にある関節隆起という出っ張りから成り立っています。上顎のそのくぼみに下顎の骨のつき出た部分、下顎頭(かがくとう)がはまり込んでいます。口を閉じているときには、下顎窩に下顎頭が入り込んでいる形となり、口を開けた時には下顎窩から下顎頭がスライドして前下方へ動きます。
下顎窩と下顎頭の間には関節円板というクッションの役目をする組織があります。関節円板はコラーゲン線維がぎっしりとつまった組織で、細胞の数が少なく、神経や血管はありません。形は上面も下面も凹んでいるため、前と後ろが厚く、中央は薄くなっています。全体としては競馬の騎手がかぶるジョッキーキャップに似ています。その端は下顎頭の内と外につながっていますが、前後にはくっついておらず、下顎頭と関節円板の前方には外側翼突筋(がいそくよくとつきん)という筋肉が付着しています。この筋肉が収縮すると下顎窩にはまり込んでいた下顎頭と関節円板が一緒に関節隆起上を滑り降りてきて口が開きます。口を閉じると、下顎頭と関節円板は再び一緒に元の位置に戻ります。関節円板は関節運動を滑らかにするとともに、咀嚼時の顎関節部にかかる負担を和らげてくれます。関節円板の後方には、血管や神経の豊富な円盤後部組織に移行しており、下顎頭の運動を補助しています。
顎関節は、関節包という線維性の膜に取り巻かれています。関節包の内面と前後の折り返し部分は滑膜に覆われており、滑膜は滑液(かつえき)という栄養分に富んだ関節液を分泌し、関節腔にたまった老廃物を吸収します。また、上下の関節腔はこの滑液で満たされています。滑液は下顎頭の動きを滑らかにする潤滑油の働きをするとともに関節円板や骨の表面の線維軟骨に栄養を運んでいます。
関節包のさらに外側には靱帯があります。靭帯は骨と骨とをつなぐ線維組織で関節が離れてしまうのを防ぎ、関節の動きを規制しています。
このように顎関節というのはさまざまな組織で構成されています。
医療法人社団栄怜会ニコデンタルクリニック
東京都葛飾区立石2-26-17
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