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歯の豆知識⑥「顎関節症とは?」

こんにちは。
葛飾区立石の歯科医院、医療法人社団栄怜会ニコデンタルクリニックの渡辺です。今回のブログは歯の豆知識⑥「顎関節症」についてお話しさせていただきたいと思います。

筋肉、顎関節、咬み合わせ機能的咬合系のいずれかが障害されても、他の機能に悪影響が誘発され、口の機能が障害されることになります。これが顎関節症という病気です。顎関節症の主な症状としては「口が開きにくい」「口を開けると音がする」「あくびをしたり、硬いものを噛んだりすると顎関節の付近が痛い」「噛みごたえのある物を食べると、顎がだるくなる」などです、また肩こり、頭痛、めまい、耳鳴りを伴うこともあります。この中でも顎関節症の3大症状と言われているのは「顎が痛い」、「口が開かない」、「顎から音がする」というものです。現在、顎関節症はむし歯、歯周病に次ぐ歯科の3大疾患の一つとされています。

顎関節症の原因は多岐にわたります。外傷、パラファンクション、情動ストレス、末梢からの疼痛入力、咬合異常などです。これらが単独又はいくつか複合して顎関節や咀嚼筋に悪影響を及ぼし、顎関節症の発症に至ります。外傷の種類には、打撲や大欠伸、無理な硬固物咀嚼があります。パラファンクションの種類には睡眠時ブラキシズム、覚醒時ブラキシズムがあります。情動ストレスの種類には職場ストレス、介護の負担があります。抹消からの疼痛入力の種類には、歯痛、智歯周囲炎(親知らずの周囲の炎症)、外耳道炎があります。咬合異常の種類には前歯部オープンバイト、片側性クロスバイトがあります。すなわち、顎関節症は単一の原因や病態というわけでなく、同じような症状を持っている方でもその原因は異なってきます。容易ではありませんが、その病態を発症した原因を出来るだけ探っていくことが治療の第一歩となります。

顎関節症は一般社団法人日本顎関節学会の分類で以下の4つの病体に分類されます。
1)咀嚼筋痛障害
咬筋や側頭筋などの咀嚼筋が障害され、痛みが出てきている病態。咀嚼筋痛があると食事などで痛みを覚えたり、だるくなって食事がしづらくなります。痛みの強さによっては口を開けづらくなったりします。この病態は顎関節症Ⅰ型とも呼ばれます。
2)顎関節痛障害
顎関節が阻害され、痛みが出てきている病態。
何らかの原因で顎関節の中の組織に炎症が生じて痛みが出ます。大きく口を開けたり、硬いものを噛んだり、口を左右に振ったりして顎関節に力が加わると痛みを感じます。痛みが強いと、口を開けられる量が大幅にへり、食事に支障が出ます。この病態は顎関節症Ⅱ型とも呼ばれます。
3)顎関節円板障害(復位性)
口を開けていくとガクッ、コクっといった音がすることをクリック音と言います。口を開けていく時に下顎頭が途中でずれた関節円板に接触し、さらに移動を続けていくとクリックが生じます。このクリックを「顎がはずれた」と勘違いする人がいますがそうではありません。円盤転位が復位性である間は半数以上は痛みはありませんが、クリックが生じる瞬間に痛みを覚えることもあります。
4)顎関節円板障害(非復位性)
ある日突然に、口を開けても下顎頭がずれた関節円板に滑り込むことができなくなってしまうことがあります。このようになると、どのようにアゴを動かしても、下顎頭の動きは制限され大きく口を開けることができなくなります。このような状態を「クローズドロック」と呼びます。無理に口を開けると、顎関節付近に強い痛みを覚えます。
5)変形性顎関節症
下顎頭はこぶしを握ったような円球状をしていますが、それが変形してくることがあります。変形は特に加齢とともに多く見られるようになるので、加齢は変形性顎関節症の原因の一つとなります。特徴的な症状として口を開け閉めした時に「ジャリジャリ」、「ギシギシ」といったこすれるような音があります。この音はクレピテーション(クレピタス)と呼ばれます。

以上のように顎関節症には様々な原因、そして病態によった分類があります。

※専門用語の内容については以前書かせてもらっている 歯の豆知識④「顎関節の解剖学」を参照にして下さい。

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